「師匠の教えが財産」 箏曲の和久文子さん、栃木県文化功労者に

 本年度の県文化功労者に日光市、和久文子(わくふみこ)(本名福田(ふくだ)文子)さん(66)=箏曲=が選ばれた。和久さんの横顔を紹介する。

 10歳で手ほどきを受けた箏(生田流)と50年余りを歩んだ。「素直にうれしいし、ありがたい。私一人の賞ではなくて、支えてくださった恩師や関係者、生徒さん、家族、皆さんに感謝しています」と温和な笑みを浮かべる。

 19歳で日本屈指の名演奏家沢井忠夫さわ(いただお)・一恵(かずえ)両氏に師事し、22歳から5年間は内弟子として修業を積んだ。「音の出し方をはじめいろんなことを指導していただいた。先生方の音を常に間近で聴かせていただけたのは今も私の財産です」

 1979年に門下生で結成された「沢井忠夫合奏団」の一員となり、プロとして国内外で演奏活動を行った。師の教えを守り長年にわたって箏曲の可能性を追求し、ジャズや交響楽団、舞踊のアーティストと連携を図るなどジャンルにとらわれずに活躍してきた。

 「邦楽の良さを栃木県の子どもたちに伝えたい」と26歳で郷里に戻り、門下生の育成と演奏活動を展開するようになった。現在は県内大学の教壇に立つほか、小中高校の授業や部活動で指導し、後進の育成に力を注ぐ。教え子の前川智世(まえかわともよ)さんらが結成した「邦楽ゾリスデン」といった次世代を担う若手演奏家も輩出した。

 年間1万人ほどの生徒と膝を交え、スケジュール帳は真っ黒になるほど指導の予定が書き込まれている。「皆さん『大変でしょ』とおっしゃるけど、ゼロからのスタートだったので、これだけ多くの学校が邦楽に取り組んでくれるのは夢のよう」