親子の名前がずらりと書かれた腹帯を持つ最初の持ち主の安納さん(左)と臼井さん=11月、宇都宮市下荒針町の鷲谷病院

 宇都宮市飯田町、看護師安納澄子(あんのうすみこ)さん(58)がかつて妊娠中に大きくなったおなかを支えるために使った腹帯が、安産を呼ぶ“幸運の腹帯”として21人の妊婦を守り、21年ぶりに安納さんの元に戻ってきた。「戻ってくるとは思わなかった。たくさんの名前が書かれていたのを見て、出産の感動をこれだけの人が味わってくれたんだと感慨深くなった」と安納さん。今も「使いたい」と待つ女性がおり、腹帯はこれからも妊婦の幸せを紡いでいく。

 安納さんは結婚してから11年間子宝に恵まれず、念願かなっての妊娠だった。戌の日の安産祈願のお参り用にさらし1反の腹帯を買い、大きくなったおなかを腹帯で支えて長男の康太郎(こうたろう)君(21)を出産した。

 「私と一緒に子どもの命を守ってもらった腹帯を捨てることはできない。誰かに使ってもらえたら」と自身と子どもの名前、出産した日時を書き、友人に渡したという。

 腹帯のことをすっかり忘れていた昨年、知人から「安納さんの名前が書いてある腹帯が(妊婦の間で)回っているよ」と聞いた。同じ病院で働く砥上町、看護師臼井栄美(うすいえみ)さん(42)が妊娠したため、安産のおまじないとして臼井さんに使ってもらおうと、腹帯は知人を介して再び安納さんの手に。21年ぶりに目にした腹帯には、自分と友人の名前のほか、20組の知らない親子の名前がずらりと書かれていた。

 23人目として腹帯を使った臼井さんは7月に無事に長女ななみちゃんを出産。臼井さんは「夜勤もあり、仕事中に使っていた。大勢の人が使っているから柔らかくて、他の腹帯とは使い心地が違う。この腹帯のおかげで無事に出産できた」と話す。

 さらに1組増え、24組の母親と子どもの名前が腹帯に刻まれた。今も5人の女性が“幸運の腹帯”が届くのを待っているという。安納さんは「息子は父の後を継いで、農業を頑張っている。息子の子どもが産まれる時、お嫁さんに巻いてもらうのが夢」と笑顔を見せた。