新型コロナウイルス感染拡大の影響で木材の素材や製品の生産が落ち込んでいる状況を受け、林業などの業界関係者は強い危機感を抱いている。「川下」の建築業で使用される木材が県外産や外国産材にシフトし、林業や木材産業に多大な影響が出る恐れがあるためだ。県産材の品質が国内でも高く評価されている中での「大きな痛手」。県は緊急対策として、間伐促進に向け森林所有者への助成拡充を始める方針で、関係者も大きな期待を寄せている。

 「事態が長期化すれば、雇用喪失などにつながりかねない」。11月下旬、県森林組合連合会の江連比出市(えづれひでいち)会長は、県庁で福田富一(ふくだとみかず)知事に強く訴えた。

 近年県内の森林が過渡期を迎え、「川上」の林業では間伐や再造林が急務となっている。だが今年は新型コロナの影響で素材価格が下落し、森林所有者の利益も減少するため「切り控え」が進行。多くの木が伐採期を迎える一方で、計画通りに間伐が進まず、「川中」の木材産業にも影響が出ている。

 一方、住宅の着工数は川上・川中ほど落ち込んでおらず、需要超過の状況が続く。県林業木材産業課の担当者は「新国立競技場などで県産材への注目が集まる中で大きな痛手。川下で外材とのパイプができてしまうと元に戻すのは難しくなる」と警戒し「川下の影響が小さいならなおさら、現在の販路を途絶えさせず、むしろ拡大させなければならない」と強調する。

 県の支援拡充を要望していた江連会長は「(今回の支援で)価格に左右されず、安定的に供給できるようになるといい」と期待する。一方で「森林の循環を高めるには、切るだけでなく再造林も必要だ。人材確保や獣害など従来の課題も深刻。将来を見据えた課題解決を引き続き求めていきたい」としている。