ゾーニングされた栃木刑務所内。受刑者が感染した場合、職員は防護服を着て対応する=10日午後、栃木市惣社町

全身を消毒する装置。外部からのウイルスの持ち込みに警戒している=10日午後、栃木市惣社町

ゾーニングされた栃木刑務所内。受刑者が感染した場合、職員は防護服を着て対応する=10日午後、栃木市惣社町 全身を消毒する装置。外部からのウイルスの持ち込みに警戒している=10日午後、栃木市惣社町

 新型コロナウイルスの感染が全国で急増する中、刑務所などの矯正施設では厳戒な感染防止対策を講じている。受刑者が集団生活を送り「3密」を完全に防げない刑務所。外部からウイルスを持ち込ませない-。“水際対策”に力を入れる栃木刑務所をルポする。

 栃木県栃木市惣社町にある国内最大級の女子刑務所「栃木刑務所」。10日午後、同刑務所の伊藤隆(いとうたかし)調査官らの案内で施設の一部を取材した。

 受刑者がいるエリアに入る際には装置を使って全身を消毒する。足元のスイッチを踏むと、前後にあるポールから噴き出したミスト状の消毒液に包まれた。

 「外部からのウイルスの持ち込みに警戒している」と伊藤調査官。受刑者約500人が閉鎖空間の中で生活する上、高齢者や基礎疾患がある受刑者も多い。「1人感染すれば一気に広がる恐れがある。神経質なほどの対策が必要」と説明する。

 他にも条件付きで一般客が利用できる美容室では、受刑者がマスクとフェースシールドを着けて接客に当たる。面会室では通気孔をテープでふさぐなどの対策を取っている。

 それでも刑務所内から感染者が出る可能性はゼロではない。法務省によると10日現在、全国の矯正施設では職員26人、被収容者3人の感染が確認されている。本県の矯正施設では確認されていない。

 同刑務所では職員や受刑者は常にマスクを着用。私語が認められている運動時間や共同室内では、ソーシャルディスタンスを守るように指導している。

 また受刑者の感染に備え、感染者と感染の疑いがある人を収容する個室を約20人分用意している。感染者と非感染者が利用する場所を分ける「ゾーニング」をしたり、全職員を対象にした防護服の着脱訓練をしたりして有事に備えている。

 同刑務所の収容率は約8割。多くの感染者が出た場合、空き部屋などを使う予定だが、伊藤調査官は「たくさん余っている訳ではない。感染者が出たらいかに拡大させないかが重要だ」と危機管理を強めている。