この時季のおしゃれに欠かせない衣類にカーディガンがある。クリミア戦争で腕を負傷した人に脱ぎ着しやすいセーターを、と英国のカーディガン伯爵が考案したといわれている▼障害者はむろん高齢者など誰にでも使い勝手のいい「ユニバーサルデザイン」が広がりつつある。その先駆例としてNPO法人アクセシブル・ラボ代表理事の大塚訓平(おおつかくんぺい)さん(40)が冒頭の話を紹介してくれた▼先日、宇都宮市内で開かれた「ヒューマンフェスタとちぎ」で障害者の人権について講演した大塚さんは、11年前に事故で脊髄を損傷し車いすの生活に。不動産業を営みながら障害者の外出環境整備事業に取り組んでいる▼障害者で一番多い肢体不自由は全国で200万人いるが街中であまり見掛けない。なぜか。建物の入り口の段差など物理的、周りに迷惑を掛けるという心理的、さらに必要な情報がないという三つのバリアーが車いすユーザーの外出を阻んでいる現状があるからだ▼欧米では思ったほど物理的な課題は解消されていない。ただ、助けを求めなくてもごく自然に手を差し伸べてくれる習慣が根付いているという。ハードのバリアーをハートが解消している▼「誰も取り残されない。誰も排除しない栃木にしたい」。大塚さんの提言に応えるため、一歩前に踏み出すハートを磨きたい。