京王線つつじケ丘駅から徒歩2分。甲州街道に近いビルの階段を上った先に、「栃木の地酒」ファンが集うレトロな空間が広がる。
日本酒は全て栃木県産で、常時20~30種をそろえる。「栃木の地酒はおいしいのに、あまり知られていない。それを伝えたいと思って」。壬生町出身の店主小倉誠(おぐらまこと)さん(46)は店のコンセプトをそう説明する。
バーとはいえ、刺し身など和食を中心とした料理のメニューも充実している。特に注文が多い「大山(だいせん)どり白レバーのごま油漬け」は、滑らかな食感で酒のお供にぴったり。冬に人気の「デンゾウのおでん」は、だしから仕込むこだわりの逸品だ。デザートには南ケ丘牧場(那須町)のアイスクリームも用意。食器には益子焼を使用し、ココ・ファーム・ワイナリー(足利市)のワインも扱う。
小倉さんは栃木南高(現・栃木翔南高)を卒業後に上京し、音楽活動に励んだ。その後に会社員となったが、飲食に興味があったため脱サラし、数店で修業。2013年に店を構えた。
店名は祖父の故傳藏(でんぞう)さんに由来する。「大正時代をイメージした店内の雰囲気に合うし、故郷の物を使うという気持ちも込めた」
コロナ禍の前には、県内の酒蔵を招いて客との交流イベントも行っていた。感染が収束したら、酒蔵の見学ツアーも実現させたいと考えている。
メモ 調布市西つつじケ丘3の37の14 カジマヤビル2階 電話042・444・3865。火~金曜は午後6時~午前1時、土曜は午後5時~午前1時、日曜は午後4~11時。定休は月曜と第3日曜。
■店主の思い
離れてみると地元の良さが見えてきます。観光も食も酒も質が高いので、この店をきっかけに、東京の人にも栃木の良さを知ってもらえたら何よりです。