北側のカバーが外されて姿を現した市新庁舎(左)。右隣は現庁舎

 来年5月の新庁舎移転まで半年を切った栃木県小山市で、紙文書をどう削減するかが深刻な問題となってきた。8階建て新庁舎の文書収納量は400立方メートルなのに対し、4階建て現庁舎と周辺に分散している市庁舎の保管文書量は3割以上も多い600立方メートルと推計されている。新庁舎はペーパーレス時代を見越した職場設計となっているが、職員の意識がまだ追い付いていないのが実情のようだ。

 「いざ引っ越しの時に収まりがつかないのではないか」。浅野正富(あさのまさとみ)市長が9日の定例記者会見の冒頭で、市役所の文書削減問題を唐突に語り出した。前日に隣接する茨城県結城市の市役所新庁舎完成記念式典に招かれ、真新しい庁舎を見ながら半年後に迫った小山市役所の引っ越しに対する懸念が頭をよぎったようだ。

 両市の新庁舎は設計会社が同じで、職員が大天板の長机を共有する職場環境の設計は似ている。個々の職員に机が一つずつ与えられ、机の上に書類がうずたかく積まれた光景は、両市とも近いうちに過去のものとなる。問題は、これまでにため込んだ文書をどうするかだ。

 結城市によると、新庁舎の文書収納量は200立方メートルに対し、旧庁舎の文書保管量は247立方メートルあった。このため執務室から移す文書は60%、倉庫など執務室外から移す文書は40~50%にとどめ、文書を削減するよう職員に通知した。庁舎の本移転は今月下旬に行われる。

 小山市の文書収納量はさらに余裕がない。移転した時点で収納量が満杯となるのを避けるため、文書管理を担当する市行政経営課は、各部局に個人が新庁舎に持ち込む文書量を半減するよう通知している。だが「現実問題としてはまだ捉えられていない」と同課。

 保管された紙文書を減らすにはPDFなど電子データに変換する手段もあるが、「全てをデータ化すればサーバーの容量が不足してしまう」(同課)という。冊子類を全てPDF化するのも現実的ではない。

 結局は各部局で複数所有している文書を処分し、執務室から個人の所有物を極力減らすしか手段はなさそう。市本庁舎整備推進室の池澤明宏(いけざわあきひろ)室長は「法律で定められた文書は別として、本当に紙で残さなければならない文書はそう多くはない。新庁舎移転はペーパーレス化へのいい機会になる」と話している。