米大統領選で勝利を確実にしたバイデン候補は、勝利宣言で「分断ではなく融和を目指す」と表明した。至極、当たり前の言葉がニュースとなって世界中を駆け巡る。いまだに分断をあおるトランプ大統領の存在が悲しく思えてくる▼融和を実現するための手法に協働がある。「同じ目的のために、力を合わせて働く」ことであり、「官民協働」「協働契約」などの言葉として使用される▼その協働によるまちづくりに焦点を当てたイベントが先ごろ、県庁であった。「協働で創るとちぎの共助社会」をテーマにした県主催の「とちぎ協働推進大会」では、NPO法人の代表らが、コロナ禍でどう活動を展開すべきかを模索した▼興味深かったのが基調講演を行った宇都宮市の光琳寺住職の井上広法(いのうえこうぼう)さんの提言だった。コワーキングスペースを開設するなど新しい仏教の姿を追求していることで知られる住職は、コロナ禍を「雨宿り」と捉えた▼「自己を見詰め、過去を見詰める」ことに充て、どんな未来をつくっていくか、立ち止まって考えるべき機会だという。寺を拠点に協働によるさまざまなまちづくりも実践している井上さんの話を聞くと、うっとうしい雨もすてきに見えてくる▼協働が本県に根付くことを願う。そうすれば米国社会のような分断がはびこる隙は決して生まれない。