いわむらかずおさん

 知事選の投票率が30%台-。こんな数字を見ると情けなく思います。私は投票を棄権した記憶がありません。選挙権を獲得するのに先人たちがどれほど苦労したか。そう考えると棄権は考えられません。

◇2020ダブル選挙特設ページ

 日本で初めて選挙が行われたのは1890(明治23)年で、選挙権は国税を15円以上納めている25歳以上の男性でした。1925(大正14)年に25歳以上の全ての男性になり、45年に太平洋戦争が終わり、20歳以上の男女となりました。

 特に女性が参政権を獲得するまでには長い時間がかかりました。もし女性に参政権があったら、あの戦争の時代が少し違うものになっていたかもしれません。

 今は18歳から選挙権があります。18、19歳の人も「分からない」と言っていないで、自分で考え、結論を出すことが選挙でも大切だと思います。

 1票を投じることは、まさに社会に自分が参加していくことです。自分の住んでいる地域や国に影響を与える。わずか1票ですが、集まって力になっていきます。人から強制されるものでもありません。それを否定してしまったら民主主義を否定することになります。

 ちょうど、米大統領の選挙が行われました。報道を見ていても、あれだけ大きな国でも、一人一人の1票が大きな力を持つということを改めて感じました。

 今回は国政選挙ではなく知事選なので、こういう栃木県だといいなということを夢でもいいから描いてみるのはどうでしょう。少し楽しんで、候補者のうち、どちらが自分の描く栃木県に近いかを考えてみます。

 私の場合、例えば原発の問題などを考えます。知事なので直接的に関われないこともありますが、知事の考えが与える影響は大きいです。福島県の隣の県でもあり、栃木県にも指定廃棄物の問題で困っている人たちもいるわけですから。

 選挙公報を読んでも、すぐに決められるようなものではありませんが、この候補者のほうが、自分の考えとか、感覚とか、生活感とかに近いな、というのはあります。

 知事選で1票を投じたその瞬間、栃木県民だという意識を感じます。すっと投票用紙が落ちていったときに。そういうことは大事ですよね。

 【プロフィル】いわむら・かずお 1939年、東京都生まれ。益子町在住。東京芸術大卒。代表作は「14ひきのシリーズ」など。那珂川町に「いわむらかずお絵本の丘美術館」を開館。