知事選候補者の演説に耳を傾ける塩谷町民ら=11日午後、塩谷町玉生

 15日投開票の知事選の候補者2人が11、12日にかけて、塩谷町でそれぞれ街頭演説を行った。国が放射性物質を含む指定廃棄物処分場(長期管理施設)の詳細調査候補地に選定している同町。指定廃棄物の問題は目立った進展がなく、両候補とも柱の政策には盛り込んでいない。全県的に注目された4年前の知事選とは異なり下火ムードが漂う中、反対する町民らは問題の埋没感も危惧している。

 「処分場(の整備の方針)を白紙に戻したい。きれいな塩谷町に廃棄物処分場は作ってはいけないし、(候補地の国有林は)崩れやすく、明らかに危険だ」

 11日午後、同町内のスーパー前。元NHK宇都宮放送局長で無所属新人の田野辺隆男(たのべたかお)氏(60)が力説した。立候補した2016年の参院選でも候補地とすることに反対を表明し、町内では相手候補より多く得票したことにも言及。県政、国政批判や「脱原発」「自然エネルギー」関連の主張を展開した。

 聴衆の側には「白紙撤回」ののぼり旗。同町道下、男性(76)は「白紙撤回を諦めない町民の思いは全く変わっていない」と断言する。「ただ、県民全体の関心が下がっていることは残念」と加えた。

 同町熊ノ木、農業女性(70)も「もちろん絶対反対、熱は冷めていない」と語気を強めつつ、「県全体で考えるべき問題が、町民以外人ごとになってしまっているのでは」ともつぶやいた。

 無所属現職の福田富一(ふくだとみかず)氏(67)=自民、公明推薦=は12日午後、町内の交差点付近でマイクを握った。公約集の中で「指定廃棄物の処理に関する県としての役割の実行」を掲げる。

 「指定廃棄物の長期管理施設は、町と県にとって喉の骨。知事としては反対だとは言えない」と説明。各市町での暫定集約が議論されていることも紹介し「塩谷町の問題と並行しながら落ち着くところに落ち着かせる。知事として、4年の間にこの問題を何とかしたい」と支持者に訴えた。

 船生、無職女性(77)は「災害の頻発など、さまざまな問題がある中で、難しい面もあると思う」と理解を示しつつ、「なかなかはっきりした答えは出ていないが、とにかく早く問題を片付けてほしい」と期待した。

 指定廃棄物を巡っては、保管農家を抱える市町での暫定集約に向けた議論も一部で進むが、農家の間には長期化への諦め感も漂う。

 那須塩原市、保管農家の男性(68)は「暫定集約や減容化の方法も見えず、県民の関心も下がり、知事選でも話題に上がらなくなっている。県のトップには、強いリーダーシップを発揮してもらいたい」と望んでいた。