着々と進むLRTのレール敷設の工事現場=6日午後、宇都宮市清原工業団地

 15日投開票の宇都宮市長選は、次世代型路面電車(LRT)整備の在り方が争点となっている。LRTを前提に公共交通網の拡充を訴える現職に対し、新人は工事の一時凍結による新型コロナ対策の充実を掲げる。JR宇都宮駅東側のLRT沿線の有権者には、にぎわい創出や生活の足の確保へ期待する声がある。一方、市北部などの周縁部には「恩恵は沿線だけ」と不満も依然強い。

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 市長選はLRT事業を進めてきた現職佐藤栄一(さとうえいいち)氏(59)と、駅東側工事の一時凍結と駅西側延伸の中止を掲げる新人須藤博(すどうひろし)氏(77)の一騎打ちだ。

 現在、清原工業団地内では開業を控え、レール敷設が進んでいる。

 「ここまできて、今更止められても困る」。導入を待ち望む地元住民のLRT整備特別委員会の石川裕夫(いしかわひろお)委員長(81)は言葉に力を込める。「車を運転できなくなったら、何もできなくなる」。買い物、通院…。年を重ねた後の生活への不安が、20年以上前からあった。

 LRT事業には、地域活性化への期待も大きい。「開業はゴールではなくスタート。利便性の高い公共交通があれば人の動きが変わり、街も変わる」

 ただ、沿線住民にも温度差はある。日常的に自家用車を使う工業団地近くのパート女性(39)は、LRT利用をあまりイメージできないという。「利用するとしても、飲み会の帰りぐらいですね」と話す。工業団地で働くある男性(52)は「車がある限り、通勤では使わない」と関心は薄い。

 周縁部の市北部でも意見は割れる。河内地区まちづくり協議会の桜井基一郎(さくらいもといちろう)副会長(73)は「LRTは高齢化社会に必要な乗り物」と受け止め、「バス路線再編などで南北の利便性も高めてほしい」と注文する。

 同市逆面町、永井政男(ながいまさお)さん(75)は「バスで空白地域を埋めると言っても、沿線以外は恩恵を感じない」と反対の立場。しかし駅東側で工事は着々と進んでおり、「今更反対しても」とあきらめ感もにじませた。

 「断固反対」。河内地区のさらに北にある上河内地区の農業男性(71)は「沿線から離れるほど反対の声は大きくなる。利用価値がないから」と切り捨てた。

 LRTの延伸計画がある駅西側は、本年度中にも区間などが公表される予定だ。オリオン通り曲師町商業協同組合の長谷川正(はせがわまさ)理事長(73)は「大通りをどう走るのか、停留所の場所は…。街なかの活性化へ早期に計画を公表してほしい」と求めた。