11月11日はきりのいい日付だけに、さぞや数多くの記念日になっているのだろうと思って調べたら、その通りだった。乾電池の+-で電池の日、細長いイメージから麺の日…▼本県に関わりの深い日としてモヤシの日がある。いわれはまっすぐに伸びる様子からだそうで、もやし生産者協会が2012年に制定した。生産量が全国でもダントツの本県にあっては格別の日なのである▼同じ日本一のイチゴなどの陰に隠れ、いまひとつ地味な存在だが、みそラーメンや野菜炒めなど庶民の味には必須の食材である。1年に1度くらいモヤシに思いを寄せても罰は当たらない▼なぜ、日本一の産地になったのか。栃木市の上原園、岡部一法(おかべかずのり)社長によれば、工場で栽培するのには大量の水が必要で、本県はモヤシに適した地下水が豊富に湧き出るからだという▼〈八月は南無菠薐草(ほうれんそう)の値が高く年中同じ値のもやしの棚へ〉(河野裕子(かわのゆうこ))。さすがに1円といった破格の値札は見掛けなくなったが、今でもスーパーの店頭では20~30円と安値が続く。飛び切りの家計の優等生である▼半面、生産者にとって極めて厳しい価格帯だという。今年は原料の中国産緑豆が大不作で高騰が見込まれるそうだ。消費者にとって栄養価が高く食卓にも欠かせないモヤシ。両者がウィンウィンとなる道はないものか。