「Go To トラベル」のポスターが貼られたペンションのフロント。キャンペーン終了後の旅行動向は不透明だ=4日午後、那須町高久乙

 コロナ禍の中で15日に投開票を迎える知事選。県内事業者は、経済対策の行方を注視している。感染拡大は予断を許さず、客足が遠のいた宿泊や飲食業界などの苦境は、深刻なまま。「消費税減税など思い切った対策を」「経済回復を最優先に考えてほしい」。生活への尽きぬ不安を抱え、関係者からは切実な声が上がる。

 「正直、旅行は生活必需品じゃない。経済的なゆとりがなければ、旅行意欲はどうしても落ちていく」

 那須町高久乙のペンション「ガストホフ 那須花(なすか)」のオーナー深沢宏美(ふかさわひろみ)さん(65)は危機感を募らせる。

 3月の売り上げは昨年同月の2割にまで落ち込み、4~5月の休業期間中も燃料代などの出費はかさんだ。「Go To トラベル」に東京発着が追加された10月、ようやく客足は昨年同月の1・3倍となったものの、キャンペーン終了後の展望が見えていないのが現実だ。

 休業要請に応じた県からの協力金を含め、行政の支援制度は「ないよりはずっと助かった」と感じている。一方、好評とされた県の「一家族一旅行」の利用客は数件にとどまり、その効果には首をかしげる。

 昨秋の消費税増税でコスト高になる苦しい状況の中、襲いかかったコロナ禍。「公的支援を受けている身。本来は言うべきではないかも」と前置きした上で「消費税減税。政治には、それくらい思い切った対策の可能性を探ってほしい」。

 宇都宮市内のバー30店舗が加盟する宇都宮カクテル倶楽部(くらぶ)も各店の収益が激減し、苦境が続く。同市本町でバーを営む武内博(たけうちひろし)代表幹事(47)が県のリーダーに求めるのは、「経済回復とコロナ対策の両立」だ。

 全国でクラスター(感染者集団)が発生した影響で業界は「夜の街」とひとくくりにされ、客足は遠のいた。それに加えてカウンター10席の武内さんの店は、密を避けるため席数を減らすなどして営業しており、売り上げが前年の半分に満たない月もあるという。

 同倶楽部は、社会的距離の確保や換気の徹底など、4項目からなる「感染防止対策取り組み宣言」を展開している。「宇都宮のカクテル文化を守りたい」。各店が試行錯誤を重ねながら、努力を続けている。

 武内さんは「国内外の状況を見れば、ノーコロナの実現が難しいのは明らか。ウィズコロナの時代に何ができるのかを真剣に考え、提案できる人を選びたい」と訴えた。