堤防の復旧工事が進んでいる秋山川の決壊現場=1日午前、佐野市寺中町

 15日投開票の知事選は、頻発する災害から命や財産を守る防災、減災対策が大きな争点となっている。大規模な浸水被害となった昨秋の台風19号から1年余り。県内被災地では河川の応急復旧工事が進むが、深刻化する災害規模に対応する改良復旧工事は、まだまだこれからの状況。住民からは「抜本的対策の議論を」「災害弱者に、きめ細かな情報発信を」など、政治に対し切実な注文の声が上がる。

 台風で秋山川が決壊した佐野市赤坂町。自宅1階が浸水した女性(75)は「率直に言えば(決壊は)人災なのでは」と話す。

 あの夜、何本もの流木が川を下り、川底の土砂と相まって、堤防が切れる一因になったといぶかる。現地で行われる河川の改良復旧には「とても感謝している」。その一方で、「今は里山が荒れている。山の手入れにも力を入れ直すなど、いろいろな方法で洪水を防ぐ方向に進んでほしい」と話す。政治には、治水や防災の議論をより深めるよう望んでいる。

 自宅が床下浸水した同市大橋町、会社員男性(43)は被災後、自宅を復旧するための費用を補助する制度に申し込んだ際、行政の「申請主義」が気になった。

 「私は知人に教わり、たまたま制度に気付けたが、被災後は誰もが混乱していただけに、高齢世帯などはどこまで活用できたのだろう」。暮らしが落ち着きを取り戻しつつある中、被災者支援の情報発信に「工夫の余地がある」と感じているという。

 思川堤防が決壊した鹿沼市粟野地区。床下浸水に遭った看護師女性(57)は「土手の復旧はかなり進んできた」と胸をなで下ろす半面、「川底を早く掘り起こさないと心配」と改良復旧の進捗(しんちょく)に気をもむ。

 被災後、衣類や寝具を全て捨てざるを得なかったという同地区の女性(78)は「もっと大変だった人もいるから仕方がないけれど、全て自費で買い直すのは大変」と打ち明ける。朝晩の気温が下がり、冬を越す準備に不安を覚えるという。実家の田んぼは浸水被害のため、今年は満足に田植えができなかった。来年以降の行方が、気掛かりの一つとなっている。