感染防止のため握手を自粛し、グータッチする有権者と候補者=29日午後、芳賀町

 新型コロナウイルス感染の収束が見通せない中、選挙戦が始まった知事選。有権者との握手や大声での応援の自粛-。新人と現職の両陣営は感染対策に細心の注意を払いながら、「できることをやるしかない」とウィズコロナ時代の選挙戦を展開している。

 30日、那須塩原市などで街頭演説した無所属新人田野辺隆男(たのべたかお)氏(60)は、顔や表情まで見てもらおうと、透明のマウスシールドを着用した。演説を終えると、集まった有権者に駆け寄り、拳と拳を合わせて「グータッチ」。感染対策として握手は控えている。29日の出陣式は「密」を避けようと屋外で行った。

 陣営担当者は「選挙戦では握手が大事と言われる中、それができないのはつらい」と打ち明ける。「選挙カーで各地を回ったり、SNSを活用したり、できることを地道にやるしかない」と力を込めた。

 感染対策は事務所内でも徹底している。入り口では、スタッフが非接触型体温計で来訪者を検温する。手指消毒や、氏名や住所など連絡先の記入にも協力を呼び掛ける。テーブルには飛沫(ひまつ)防止のシートを設置している。

 「心の中で頑張ろう三唱を唱えましょう」。29日午前、大田原市内で行われた無所属現職の福田富一(ふくだとみかず)氏(67)=自民、公明推薦=の出陣式。恒例の締めは、大きな声援から拍手に変わった。

 福田氏陣営は「新型コロナ感染症対策班」を設置。マスクの着用や三つの密回避など、集会や街頭演説を実施する際の感染防止対策をまとめたマニュアルを作成した。またそれらの対策を実行したかを確認するチェックシートも作り、感染防止の徹底を図る。

 「コロナによって選挙戦は様変わりした」。陣営の担当者は明かす。応援に駆け付けた国会議員や市町長らがあいさつを終える度に、使用したマイクを消毒したり、参加者全員が大声を発する応援を自粛したり-。それでも「できる限りのことを全てやるしかない」と気を引き締める。

 屋外で候補者の演説を聞いた宇都宮市峰町、無職男性(88)は「感染の不安は今はどこに行ってもある。マスクをして屋外なら大丈夫と思って来た」。佐野市田沼町、主婦(73)は「不安はゼロではないが、みんなマスクを着けて消毒や検温もしている。屋外なので安心感はある」と話した。