原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、北海道の二つの自治体が調査受け入れの手を挙げた。処分場のめどが立たず、原発は長年「トイレのないマンション」と批判されてきた。状況を変える呼び水になるかもしれない▼だが、数万~10万年という気の遠くなる年月にわたって、核のごみを地中深く埋めて保管する地層処分を、この地震列島で行って安全は保てるのか-という疑問が改めて頭をもたげる▼日本学術会議は、核のごみを巡って2012年と15年の報告書で「抜本的な政策見直し」を提言。従来の政策を「白紙に戻す覚悟で見直す必要がある」と厳しく指摘した▼行き詰まっている理由は、現時点では地層処分の安全性に関する科学的知見に限界があることだとして、独立・中立の科学者組織による調査研究を実施するよう提案した▼また東京電力福島第1原発事故で損なわれた国民の信頼の回復に向け、市民参加型の「国民会議」を創設するよう求めた。しかし、学術会議の提言の大半は生かされていない▼菅政権は学術会議を行政改革の対象にするという。各省庁の有識者会議は、政府方針にお墨付きを与えるメンバーが選ばれている場合が多いのが実態だ。そうした会議を整理し、厳しい提言と向き合うことこそ本当の行政改革ではないか。