母親に抱かれ、インフルエンザの予防接種を受ける子ども(中央)=21日午前、栃木市箱森町

 季節性インフルエンザの流行シーズンを前に、栃木県内の診療所ではワクチンの接種希望者が例年以上に増加している。新型コロナウイルスとの同時流行への警戒から関心が高まっているとみられ、既に提供予定数に達して受け付けを一時見合わせたクリニックもある。医療機関側は発熱患者の増加も想定し、感染対策をさらに強化して流行期に備えるという。

 21日午前11時すぎ。栃木市箱森町のよこやま内科小児科クリニックでは、インフルエンザの予防接種を受ける人が次々と診察室を訪れた。長女(4)と次女(2)の接種を終えた同市、主婦鳩間郁乃(はとまいくの)さん(34)は「新型コロナもあり、(感染症には)いつも以上に警戒している。家族みんなで感染を防ぎたい」と話す。

 同クリニックでは9月から最初の接種受け付けを始めたが、同月中に全ての予約が埋まった。横山孝典(よこやまたかのり)院長(57)は「今の場所で開業して17年がたつが、こんなことは初めて」と驚く。新型コロナの感染拡大や国による高齢者への優先接種の呼び掛けなどで関心が高まり、「需要は明らかに増えている」と受け止める。

 新型コロナとインフルエンザは症状で見分けにくく、院内感染の懸念も一層高まる。同クリニックでは院外に専用のプレハブ小屋を設置して、疑わしい発熱患者に対応するという。

 宇都宮市雀の宮5丁目のてらだファミリークリニックでも、例年より接種時期を早めた人が増加した。事前予約は受けず、1日10~20人に対して接種するが、寺田寛(てらだひろし)院長(54)は「電話での問い合わせも増えた」と話す。発熱患者への対応を懸念し、「熱がある人は、来院前に電話で相談してほしい」と訴えた。

 厚生労働省によると、今年は過去5年間で最多となる約6300万人分のワクチンを用意する予定。供給量は、統計の残る1996年以降で最多だった昨年の使用量と比較して約12%多い。12月まで順次供給される見込みだ。

 獨協医大の増田道明(ますだみちあき)教授(微生物学)は「インフルエンザワクチンは感染予防や感染後の重症化を防ぐ効果がある。受けてもかかることはあるので、引き続き適切な感染対策が重要」と指摘した。