【宇都宮】海の生き物を育て、命の大切さを学ぶ授業に取り組んでいる平石中央小はこのほど、ヒラメの陸上養殖を始めた。日本財団が主催する「海と日本プロジェクト」の一環で、県内では初の実施という。5、6年生22人が約半年間、稚魚10匹の成長を見守る。
プロジェクトには、これまで全国の13小学校が参加。本年度は同校のほか、東京都、埼玉県、静岡県の4校で行われる。
同校の児童は9月から、プロジェクトに参加しているNPO法人「日本養殖振興会」(埼玉県幸手市)の指導を受け、総合的な学習の時間の授業でヒラメの育て方を学んでいる。
同28日にはヒラメの受け入れ式が同校であり、代表児童が稚魚を入れたバケツを持ち、水槽に移した。6年岡田(おかだ)みどりさん(12)は体長7~8センチほどの稚魚を見て「小さくてかわいい。病気にならないように大切に育てたい」と目を輝かせた。
養殖には、同法人が考案したろ過装置付きの水槽を使う。児童は水槽内が海水と同じくらいの3・5%ほどの塩分濃度になるよう水を入れ替えたり、掃除や餌やりをしたりする。順調に育つと、稚魚は30~40センチ程度まで大きくなるという。
稚魚の見た目や様子の変化を記録するのも日課になる。今後の授業では、養殖の必要性や海の生き物を食べることについてディスカッションするほか、実際にヒラメをさばいて食べる体験もする。
同法人の斎藤浩一(さいとうこういち)代表理事(52)は「魚を育てる意味や食べる意味を考え、ほかの命に支えられて自分は生きているんだと感じてほしい」と話した。