リニューアルした第一酒造の直売所と島田社長=10日午前、佐野市

 昨年の台風19号で浸水被害に遭った第一酒造(佐野市田島町)は、自社内の直売所をリニューアルした。被災1年を迎えた12日のオープンを迎え、島田嘉紀(しまだよしのり)社長(54)は「水害前と同じようにおいしい酒を造り、人と人が明るく交流できる一助になっていきたい」と述べ、心機一転、再出発した。

 台風19号により、醸造施設や冷蔵庫といった設備のほか、倉庫、直売所などが被災した。島田社長は「あの泥を目の前にし、水害直後はこの冬の酒造りをできるのか、もう酒を造れないのか」との思いがよぎった。

 延べ600人に上るボランティアが支援に駆け付け、早期に復旧でき、「まさか12月に仕込みを始められるとは思っていなかった」。同社は地元に根差し、地域に愛される酒蔵を目指してきた。「そう思ってやってきたが、自分で思っていた以上に皆さんにそう思われていた」と感謝した。

 支援者に応えるべく酒造りを急いだが、被害の大きい佐野市内は自粛ムードが広がり、さらにコロナ禍で飲食店での日本酒消費が激減し、在庫が増えた。「これ以上悪くなることはない、後は上向くだけという気持ちだ」と力を込める。

 復旧作業を進める中、2003年、国登録有形文化財の建物に開設した直売所が約30平方メートルと手狭で、新型コロナウイルス感染予防の3密対策も取れないことから、入り口近くの倉庫約60平方メートルを改修し、2倍に広げた。

 新直売所は冷蔵庫を3台設置した。陳列棚も広げ、これまで置けなかった自社の日本酒全アイテム約30種のほか、季節の限定酒や甘酒などを陳列している。酒の酸化を防ぐ窒素ガス注入式自動日本酒サーバーも置き、8種類が試飲できる。

 年中無休(大みそかの午前中と元日は休み)。営業時間は午前9時~午後5時。