台風19号で6カ所の堤防が決壊した栃木市の永野川。改良復旧に伴い、被災した橋の架け替えに向けた作業が進む=9日午前11時5分、栃木市大平町蔵井、小型無人機から

台風19号で6カ所の堤防が決壊した栃木市の永野川。改良復旧に向けた工事が始まっている=9日午前10時40分、栃木市大平町下皆川、小型無人機から

台風19号による住家被害棟数

台風19号で6カ所の堤防が決壊した栃木市の永野川。改良復旧に伴い、被災した橋の架け替えに向けた作業が進む=9日午前11時5分、栃木市大平町蔵井、小型無人機から 台風19号で6カ所の堤防が決壊した栃木市の永野川。改良復旧に向けた工事が始まっている=9日午前10時40分、栃木市大平町下皆川、小型無人機から 台風19号による住家被害棟数

 栃木県内で4人が死亡、住家1万4千棟以上が被害を受けた台風19号の直撃から12日で1年となる。国交省によると、本県の被害額は全国で2番目に多い2546億円に上った。県は被災した県管理の土木施設について、被災前と同等に回復させる原形復旧を来年5月までに完了させる見通しで工事に着手している。県内では今も169世帯、344人が一時的に公営住宅などで暮らす。今年7月に熊本県を中心とした被害が発生するなど、頻発する豪雨災害。記録的被害をもたらした台風の傷が癒えきらぬ中、県内で河川の改良復旧や緊急治水対策などさらなる備えへの動きが進んでいる。

 県や国交省によると、本県の被害額のうち、家屋や事業所など一般資産が1947億円、河川や道路など公共土木施設が582億円、水道など公益事業が17億円だった。2019年通年でも本県は全国2位の2547億円で、1961年の統計開始以来最大の水害被害額となった。

 堤防や道路などの災害復旧工事は、県の土木施設904カ所、市町の222カ所、国の約30カ所で行われている。県分のうち、原形復旧の対象は868カ所。9月中旬時点で700カ所の工事の発注を終えた。河川課は「渇水期の11月以降、工事を集中的に進め、5月までに全ての原形復旧を終えたい」とする。

 1日現在、県内の住家被害は全壊83棟、半壊5252棟、一部損壊8744棟に上り、損壊を伴わない床上浸水3棟、床下浸水140棟だった。負傷者は計23人に上った。

 一時的に市営、町営住宅に住む人は1日現在、足利、栃木、佐野など10市町の56世帯127人。県が民間から借り上げた住宅には97世帯186人、県営住宅には16世帯31人が生活する。

 下野新聞社の調べによると、台風19号で発生した災害ごみのうち、住家などの片付けで出た分は20市町で約5万トン。佐野市のみ約2千トン処理が残っている。申請に基づき市町が被災家屋を撤去する公費解体も、災害ごみとして扱われる。栃木市で131件、佐野市59件、那珂川町1件の申請があり、9月末現在、3市町で83件が処理された。

 堤防が決壊するなどした県管理河川のうち永野川、秋山川など7河川では、堤防のかさ上げなどで従前より流下能力を高める改良復旧が行われる。最長2025年度の完了に向け工事が始まっている。

 県内の複数箇所で氾濫した那珂川では、国などが24年度までに流域で行う施策をまとめた「緊急治水対策プロジェクト」が進む。

 国は気候変動などによる水害リスクに対応するため、流域全体で被害を軽減させる「流域治水」への転換を打ち出している。本県の鬼怒川や渡良瀬川でも、国と県、流域の市町が協議会を作り、来年3月に治水の具体策を公表する。