佐野支局に勤務していた10年ほど前、佐野市のゆるキャラ「さのまる」の誕生に関わった。佐野ブランド認証委員の一人として、市が公募したイラストの最終選考に臨んだ▼名物佐野らーめんのおわんをかぶった、愛くるしい子犬の絵。男性委員の多くは別の作品に票を投じたが、女性委員たちの熱烈な支持を得て世に登場した▼その後、瞬く間に人気を集め2013年、全国の自治体がしのぎを削った「ゆるキャラグランプリ(GP)」で優勝し、熊本県のくまモンなど超売れっ子の仲間入りを果たした。これには苦い思い出もある▼2カ月弱にわたる投票の途中集計では他県のゆるキャラが、過剰な選挙運動もあって1位を独走。逆転など夢にも思わなかった。発表当日、会場入りした岡部正英(おかべまさひで)市長も2位のあいさつ文しか用意していなかったという▼現場の同僚から電話で優勝を告げられ、自らの読みの甘さを猛省した。そのGPが今月、10回目をもって幕を閉じた。ブームは下火になり、かつての熱気はもうない▼ただ、さのまるは市民にとって揺るぎない自慢の存在に成長した。経済効果や市の知名度向上に増して「合併後も残っていた旧市町ごとの市民の心の壁を取り払い、新市の一体感を醸成した」と、同市の小野勉(おのつとむ)産業文化部長。GPは、熱狂しただけの成果をもたらした。