実習棟にある電気計測室。浸水被害後、コンセントは天井から下げる形にした

 昨年の台風19号で甚大な浸水被害を受けた栃木工業高の復旧工事が9月中旬までに完了した。台風が本県を直撃して12日で1年。室内には真新しい実習用機器などが並ぶ一方、敷地の一角には災害ごみも残る。復旧工事が終わった今も、新実習棟の整備や部屋の再配置など台風を教訓とした取り組みが進んでいる。

 「水は引いていたが、室内なども泥まみれ。ぼうぜんとした。手の付けようがない状態だった」。当時教頭だった近藤正(こんどうただし)校長は1年前を振り返る。台風直撃の翌朝、同校の被害を目の当たりにした。

 近くの永野川が氾濫し、濁流が押し寄せた。校舎など1階部分は浸水。約2メートルの高さまで水が達した所もあった。机やいす、書類なども水にのまれ、実習用の機器も水没した。

 復旧工事は、教室棟、職員室などがある本館、実習棟、体育館、校庭などにも及んだ。優先的に行った教室棟と体育館は4月に完了。その後、本館などの床や壁の張り替えを順次実施し、水没した机やいす、機器は一新。校庭では、流れ込んだ表面の泥を削り、砂を入れた。

 校内に被災当時の面影はほぼなくなったが、机や機材などの災害ごみは置かれたまま。近藤校長は「少しずつ処理は進んでいる。工事は終わったが、復旧は完全に終わっていない」と受け止める。

 被害を踏まえた対策にも取り組んでいる。新実習棟は約2メートルかさ上げして建設中で、12月に完成する予定。校舎内の再配置にも取り組み、1階にあった職員室や放送室などは既に2階へ移動させた。

 同校は2021年度、創立60周年を迎える。近藤校長は「安全、安心な学校にしていきたいという思いは今も強い」と強調。「被災や復旧状況などの資料を教訓として残していきたい」とも語った。