9月上旬、宇都宮市内中心部のとあるベンチに腰掛けていると、近くにいた男の子と目が合った。

 「こんにちは」とあいさつすると、近づいてきてせきを切ったようにしゃべり始めた。コロナで思い切り遊べないこと、暑くてマスクが嫌なこと、日常生活が何となくつまらないこと-。そしてひとしきり話すと、「じゃあね」と言って走り去ってしまった。

 認定NPO法人チャイルドラインとちぎの松江比佐子(まつえひさこ)理事長にこの話をすると「(思いを)口に出してもらい、聴くことが大切。言いっぱなしでもいいんですよ」。

 2001年以来、子どもの声に耳を傾けてきた同法人。インターネットの普及など子どもを取り巻く環境は20年で変わり、今年はさらにコロナ禍で生活が一変した。「子どもは親の不安やいら立ちを感じ、話せないこともあると思います」と松江理事長。相談もその影響を受けているという。

 今までと違う日常は続くだろう。ならばせめて「話してくれてありがとう」と、子どもに寄り添う気持ちはずっと持ち続けたい。