昨年の台風19号水害後に更地になった倉庫の跡地=先月末、栃木市柳橋町

 県内に甚大な浸水被害をもたらした昨年の台風19号水害から12日で、1年を迎える。店舗、工場などの浸水被害が大きかった栃木市や佐野市、宇都宮市などでは、この1年で水害を起因とした廃業が少なくとも17件あったことが、関係する県内5商工会議所と7商工会への取材で分かった。新型コロナウイルス感染症対策の国などの支援策により、廃業に至らないケースも多いとみられ、後継者難が続く中、商工団体の担当者らは「実態はこの件数を上回るのでは」とみている。

 浸水被害を受けた栃木商議所によると、水害以降から9月25日まで、廃業による退会届は34件あり、うち水害を理由にした廃業は10件。和賀良紀(わがよしのり)専務理事は「市街地の被害が広く、深刻だった。貸店舗の飲食関係などの廃業が目立っており、把握しきれていない廃業がまだあるのではないか」と話す。

 佐野商議所の水害以降から9月末までの廃業による退会届は55件。水害を直接の理由にした廃業は1件だが、秋山川氾濫の被害が大きく、「55件の廃業は直接・間接的、大なり小なり、大多数が水害の影響を受けている」(経営支援課担当者)。

 宇都宮商議所に出された水害起因の廃業退会届は3件だった。大谷地区の姿川の氾濫で飲食店が廃業した。

 鹿沼市粟野地区では思川が決壊し、氾濫した。粟野商工会では水害起因の廃業退会届は3件。後継者難もあり、水害を機に廃業したところがあるという。

 東京商工リサーチ宇都宮支店がまとめた今年1~8月の県内企業の休廃業・解散・倒産件数は、前年同期比25%増の506件。市町別や原因別は公表していないが、業種別で見ると、飲食などサービス業が139件と最も多く、建設業122件、製造業71件、小売業67件と続いた。

 廃業件数の増加について、同支店の担当者は「台風19号水害に加え、新型コロナの影響による急激な景気の落ち込みがある」と分析している。