「頂門(ちょうもん)の一針(いっしん)」ということわざがある。頂門は頭のてっぺんのことで、急所をとらえて痛烈に戒めることをいう▼政府の日本学術会議の会員任命拒否について、船田元(ふなだはじめ)衆院議員(自民党、栃木1区)のメールマガジンを読んで、このことわざが頭をよぎった。1983年に公選制から任命制に変更した際、文教委員として審議に携わっていたため経緯に詳しい▼「政府は形式的な任命制と口をそろえていた」と指摘し、「任命されなかった6人は、国の重要政策に反対の意思表示を行った。任命拒否の背景が透けて見える」「国会などに周知すべきだが、闇討ちのような形になったのは残念」などと手厳しい▼他のメルマガでは検察官の役職定年の延長特例や、新型コロナウイルスの影響に伴う全国一斉休校要請などについても触れ、批判の筆は鋭い▼スタートしたばかりの菅義偉(すがよしひで)内閣は、規制緩和やデジタル改革などを打ち出して期待が大きい。それが世論調査での高支持率に表れている。だが、首相の任命拒否には冷や水を浴びた気分になった。何よりも説明が足りない▼船田氏は最後に「反対するとこういうことになると、抑止効果を狙ったものとしか思えない」と断じた。皆が同じ方向を向くのは怖い。当選12回を数えるベテランの忖度(そんたく)なしの主張に、思わずうなずいてしまった。