「地域貢献賞」を受賞する瀬谷新聞店の瀬谷店主(左)

 日本新聞協会が新聞販売所を対象に贈る「地域貢献賞」に、「生活困窮者の支援」に取り組んでいる鹿沼市下田町1丁目の瀬谷(せや)新聞店が選ばれた。同賞の県内受賞は4年ぶり3件目。地域貢献の一環として生活困窮者を積極的に採用してきた同店店主の瀬谷一世(せやかずよ)さん(40)は「取り組みが評価されてうれしい。今後も行政、民間機関と連携して支援していきたい」と話した。

 同店は鹿沼市を中心に約50人の従業員が下野新聞、毎日新聞などを配達している。

 生活困窮者の採用と自立支援に乗り出したきっかけは2016年12月、内戦の地から逃れたシリア人男性を雇用したことだった。難民認定されず特別在留許可で生活し、日本語が壁になって働き先がないことを知り、自店で受け入れた。

 新聞配達などをすることで目標を持ち、生き生きした姿を間近で見た瀬谷さんは「社会の中で困っている人がいれば、新聞の仕事で夢を与え、人生に彩りを添える手伝いをしたい」と考えた。

 日光市役所、鹿沼市社会福祉協議会やNPO団体などと連携し、これまでにひきこもりの人や生活困窮者ら20~50代の11人を雇用して支援した。

 現在は7人が配達や集金、折り込みなどを手掛けており、20代の男性は「仕事はきつい面もあるが充実している」と話す。次のステップに進むため、一般企業に就職した人もいる。

 同店ではこれまでの活動で(1)個人の特性を生かした仕事は、生活困窮者の社会参加や自己実現の機会となる(2)労働力人口が減少する中、「地域の支え手」を一人でも増やす必要性がある(3)生活困窮者を受け入れ、働きやすい環境をつくることは職場定着、人材育成にもつながる-ことを実感したという。

 瀬谷さんは「人手不足の中、主力として働いている人もいる。人と人のつながりを大切に、市民、地域の役に立てるよう今後も頑張っていきたい」と思いを新たにしている。

 同賞は07年に新聞販売所の地域貢献活動を広く知ってもらい、販売所の信頼向上、地域社会の一員として自覚を高めることを目的に創設された。今回、全国から大賞1件、地域貢献賞7件が選ばれた。