さのボラねっとが行った民家の大量のゴミ出し作業=9月12日、佐野市内(さのボラねっと提供)

災害ボランティアセンターの活動結果

さのボラねっとが行った民家の大量のゴミ出し作業=9月12日、佐野市内(さのボラねっと提供) 災害ボランティアセンターの活動結果

 秋山川の堤防決壊など昨年10月の台風19号で大きな被害に遭った佐野市で、今年1月に結成された団体「さのボラねっと」が幅広いボランティア活動を展開している。被災時に住宅床下の泥出し作業に従事したボランティア同士が意気投合し、災害後も地域貢献を続けたいと、団体を発足させた。台風19号での災害ボランティアは、県内10市町で延べ2万7千人以上。拠点のセンターは全て閉所されたが、志は形を変えて地域に息づいている。

 9月12日、佐野市高萩町の住宅で、メンバー7人が6時間をかけて、軽トラック6台分のごみを運び出し、汚れたトイレ、風呂、キッチンを清掃した。同17日には別の民家で、5人が大量のごみを片付けた。

 いずれも生活苦や精神疾患などの事情が絡む市民宅で、市社会福祉協議会と連携して活動先を選定した。「やりたいけれどできない人を支えることで、地域の課題も見えてくる」と代表の松永実加(まつながみか)さん(45)=米山南町=は力を込める。

 きっかけは台風19号後の泥まみれの作業だった。市社協は被災直後にボランティアセンターを開設した。11月からは「泥のプール」となった床下に潜り込む作業が本格化した。

 時間と労力を要し、挑む人が限られる活動。市民ボランティア同士、何度も現場で作業するうち、チームワークが生まれた。「県外から来るボランティアは次の被災地に行く。地元に根付く人材が必要」との決意から、メンバー間に「災害の片付けが終わっても地域貢献を続けたい」との思いが芽生えた。

 泥出しが山を越えた1月中旬に団体登録した。登録者は年齢、職業も異なるメンバー10人を中核に約80人。新型コロナの影響で中断を余儀なくされたが、被災した高齢者を訪問し相談にのることから始め、活動の幅が広がってきた。

 市社協の藤井千夏(ふじいちなつ)さん(50)は「地域にはいろいろな課題を抱える人がいる。実働の担い手は大変助かる」。今後は人手不足に悩む自治会を対象とした内水被害を防ぐ側溝の清掃や、防災の出前講座などを考えている。メンバーの浅沼町、学童指導員町田卓美(まちだたくみ)さん(49)は「地域と行政、社協の橋渡しになる活動をしたい」と意気込む。

 台風19号では、県内10市町がボランティアセンターを開設し、泥出しや家具の運び出しといった復旧作業に協力した。活動件数は10市町で約4200件。宇都宮、栃木、佐野市では20年に入っても開設され、佐野市では県内で最も長い7月末まで設けられた。