政府は6月、首相官邸でマイナンバーカードの普及策を話し合う作業部会を開き、運転免許証のデジタル化やカードとの一体化の検討を表明した。警察庁はこのことを事前に知らされておらず、寝耳に水だった▼運転免許制度を一手に取り仕切る警察庁に事前の根回しがなかったのは驚きだが、交通局の担当者は報道で初めて知り、関係部署に問い合わせるなどして事実関係の確認に振り回された▼そもそも警察庁は作業部会に招かれていない。所管官庁を抜きにして制度の根幹に関わる改革を打ち出すのはいかがなものか。「安倍1強」で培われた官邸主導による政策決定の姿勢を改めて見せつけられたようだ▼菅義偉(すがよしひで)新政権は発足すると、行政デジタル化の目玉としてマイナンバー制度の多機能化を改めてぶち上げ、小此木八郎(おこのぎはちろう)国家公安委員長も会見で運転免許証のデジタル化推進を表明。「首相から強い指示があった」と、首相の看板政策であることを強調した▼菅氏は自民党総裁選中に民放番組で、政権が決めた政策に反対する官僚は「異動してもらう」と語った。運転免許証デジタル化への流れも、官邸サイドの強い意向で急激に形成された▼免許証のデジタル化で国民にどういうメリットがあるのか。そこが最も肝心なのだが、明確には見えておらず、今後の進展を注視したい。