巴波川の遊覧船には首都圏を中心に計約140人が乗船した。地域共通クーポンを利用した観光客もいた=3日午後、栃木市

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」に東京発着旅行が追加されてから初の週末となった3日、栃木県内観光地にも都内からの観光客の姿が見られた。事業を利用した家族連れのほか、新型コロナウイルス感染症を考慮して宿泊は控え日帰りで旅行を楽しむ人もいた。本格的な秋の行楽シーズンを控え、観光関係者は感染拡大防止に気を配りながら、需要回復に期待を膨らませている。

 那須町湯本の南ケ丘牧場は午前中から、通常の土曜日より早く人出が増えた。家族3人で訪れた東京都北区、会社員大関勝裕(おおぜきかつひろ)さん(48)は、事業を活用して「10月1日から那須高原のホテルに泊まっている。那須はリラックスできる」と笑顔を見せた。

 松川屋那須高原ホテル(同所)の広川琢哉(ひろかわたくや)社長(53)は、事業に東京が追加された効果を実感する。今月から平日も客が入るようになり、満室となった3日は都内からの客が約3割を占めた。「感染防止の取り組みはしっかりやっている。気が緩まぬよう引き続き対策する」と強調した。

 日光でも、都内からの宿泊客が増え始めている。あさやホテル(日光市鬼怒川温泉滝)の八木澤哲男(やぎさわてつお)社長(61)は「紅葉シーズンを前に良い流れが来ている」と、新型コロナの影響で落ち込んだ客足の回復に期待した。

 旅先で使える地域共通クーポンの利用も目立った。世界遺産「日光の社寺」門前町にある老舗酒屋、吉田屋酒店の店長吉田和宏(よしだかずひろ)さん(50)は「会計の6~7割くらいがクーポン。予想以上」と驚く。

 栃木市では、中心部の蔵の街並みを散策する観光客の姿が見られた。

 「自粛疲れがあったが、気晴らしになる」。夫婦で訪れた東京都板橋区、男性会社員(64)は新型コロナの状況を踏まえ、日帰りで久しぶりの遠出を満喫。茨城県古河市、会社員老沼章(おいぬまあきら)さん(56)夫婦も「宿泊は慎重に考えている。日帰りで楽しみたい」と語った。

 中心部を流れる巴波(うずま)川の蔵の街遊覧船の船頭マネージャー中村明雄(なかむらあきお)さん(62)は「少しずつだが、客足は戻りつつある。例年書き入れ時の秋の行楽シーズンに期待したい」と話した。