温泉宿に泊まって会計をする際に、気にせずいつの間にか支払っているのが「入湯税」である。客に代わって施設の経営者が市町村に納めている▼日本温泉協会がまとめた「入湯税収入額が多い市町村ベスト30」(2018年度)によると、神奈川県箱根町がダントツの1位。本県は日光市4位、那須町14位、那須塩原市23位と、有数の温泉県であることが分かる▼那須塩原市が宿泊事業者に定期的にPCR検査を行い、市負担分の財源として入湯税を引き上げる市条例の改正案が市議会で可決された。これまでの1人1日150円から、宿泊料金に応じて50~200円の値上げとなる▼新型コロナウイルス禍の中で、安全への取り組みを市内外にアピールする狙い。あるホテル経営者は「陽性者が出た場合、宿名が出されるのはどうなのか。同じグループでも部屋が違うと入湯税が変わることもあり説明が必要になる」といった懸念を挙げる▼見直しを求める声などを受けて、市は一度断念するなど紆余(うよ)曲折があったものの、「選ばれる観光地」に向けて今月から事業は本格始動した。全国初の取り組みとされ、各メディアも報じて全国ニュースとなった▼これから紅葉シーズンを迎える。観光客や市民が観光業に抱く不安がどれだけ和らぐか。他の温泉地も成果に注目しているだろう。