長期化する新型コロナ禍は、社会的により脆弱(ぜいじゃく)な立場にある人たちを一層困難な状況に追い込んでいる▼自助・共助・公助、そして絆-。菅義偉首相は目指すべき社会像をこう表現するが、政府に言われるまでもなく、市民の間の「共助と絆」はますます大切になっている▼日本盲導犬協会が今年5~6月、262人の盲導犬利用者を対象に、緊急事態宣言などの影響を電話で尋ねる意識調査を行った。そこから浮かび上がるのは、視覚障害者の窮状である▼「買い物の際に店員に援助を依頼しにくい」「周りの人との距離感がつかみにくい」。ソーシャルディスタンス(社会的距離)が不都合を強いている。「風が感じられず状況が把握しづらい」「盲導犬に指示が伝わりにくい」との声は、マスク着用の弊害の実情を映し出す▼自分や家族の安全と健康に執着するあまり、周囲で困っている人を視野の外に置いていないか。意識調査が伝える肉声にハッとさせられる。「盲導犬利用者は声を掛けてほしいと思っている。なかなか難しいかもしれないが、相手を見て困っていると思ったら、声を掛けてもらいたい」▼意識調査を行った渡辺学(わたなべまなぶ)・東大特任教授はこう話し、コロナ禍のさなかだからこそ、市民一人一人が勇気と寛容さをもって「共助の精神」を発揮する重要さを説いている。