新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う医療崩壊が懸念される中、栃木県内で感染症患者を受け入れてきた医療機関でも収益に影響が及んでいる。患者の受診控えなどで収入が減少する一方、感染対策のための費用は増加。自治医大付属病院(下野市薬師寺)は新型コロナによる損失額(試算)が、4~7月の4カ月で約19億2600万円に上るという。関係者は「いつまで影響が続くのか」と頭を悩ませている。

 重症の新型コロナ患者を受け入れてきた同病院。4~7月、外来患者が前年同期比で12%減少した。初診患者数と救急受け入れ件数は、それぞれ3割以上減った。患者減に伴う経営の損失額は、外来分が約8億5千万円、入院分で約9億5千万円に上ると試算している。

 通常は1人の看護師が複数の入院患者を受け持つが、コロナの場合は患者1人に対して看護師1人が必要となった。このため、入院患者の受け入れも制限せざるを得ないという。

 感染症対策費用も、かさんでいる。感染を防ぐ陰圧装置や人工呼吸器といった医療機器は補助金でまかなえたが、装置を設置するためのダクト工事など設備関連は助成が適用されていないものが多いという。

 8、9月で患者は少しずつ増えているが、例年は1日2500人ほどの外来予約が現在は2300人程度。県に対し今月中旬、支援を求める緊急の要望を行った。担当者は「本年度は手術の受け入れ態勢を整えるなど、経営改善対策を取っていた。減らせる経費が元々少なく、せめて患者数が昨年並みにならないと苦しい」と漏らす。

 感染症指定医療機関の日光市民病院(日光市清滝安良沢町)は、4~8月の診療報酬収入が前年に比べて毎月1千万円ほど落ち込んだ。外来患者は15~20%減少し、入院患者が利用する病床の稼働率も約13%低下した。

 新型コロナ患者は診療報酬が上乗せされるが、同病院が受け入れている軽症~中等症の患者は重症に比べ加算が少ない。マスクや手袋など感染対策物資の価格はこれまでの2倍ほどに高騰しており、遠隔で面会するためのタブレットやインターネット環境の整備にも費用を投じた。同病院管理者の杉田義博(すぎたよしひろ)医師は「ぎりぎりの状況で取り組んでいる」と話す。

 同病院でも受診する患者数は依然として減ったまま。杉田医師は「地域の患者さんのため、病院を止めるわけにはいかない。しかし、現在の状況が長期化すると経営は厳しくなるだろう」と指摘した。