ビートルズが録音したロンドンのアビーロード、ローリング・ストーンズらが使った米アラバマ州のマッスル・ショールズなど世界的に有名な音楽録音スタジオがある。日本では東京・銀座の音響ハウスが代表的だ▼「晴海(の埠頭(ふとう))が近く、誰かの車でロケハンに行った記憶があります」。松任谷由実(まつとうやゆみ)さんは懐かしそうに語った。昨年、設立45周年を迎えて製作されたドキュメンタリー音楽映画「音響ハウス Melody-Go-Round」の中のインタビューだ▼音響ハウスは、70~80年代のシンガー・ソングライターが作った都会的な「シティーポップ」の総本山。映画では坂本龍一(さかもとりゅういち)さん、矢野顕子(やのあきこ)さん、佐野元春(さのもとはる)さんらもエピソードを披露した▼矢野さんは子ども2人を連れてスタジオ入り、ロビーで宿題をさせ、夜遅くなるとドラムの部屋で寝かせながらピアノで曲作りに集中した「ワンオペ経験」を紹介し「生活の場でもあった」と笑った▼忌野清志郎(いまわのきよしろう)さんや加藤和彦(かとうかずひこ)さんら他界した人も少なくない。映画の主題歌「Melody-Go-Round」を10代前半の女性歌手Hanaが歌う。世代間のバトンタッチだった▼「いつかは誰でもこの星にさよならを する時が来るけれど命は継がれていく」。竹内(たけうち)まりやさんが歌う「いのちの歌」を思い出し、胸が熱くなった。