中村彰彦さん

 下野新聞社は年頭を飾る「新春しもつけ文芸」をリニューアルし、短編小説の選考は栃木市出身の直木賞作家中村彰彦(なかむらあきひこ)さん(71)が新たに担当する。応募作には「既成の作家にはないユニークさ」に期待を寄せる。また今年から10~20代を対象とした「奨励賞」を短編小説と現代詩の両部門に新設する。

 中村さんは宇都宮高から東北大に進学。大学在学中に文学界新人賞佳作に入選した。卒業後は文芸春秋に入社し、編集者として長く活躍した。

 1987年に「明治新選組」で第10回エンタテインメント小説大賞を受賞。91年から執筆活動に専念し、93年に「五左衛門坂の敵討」で第1回中山義秀文学賞、94年に「二つの山河」で第111回直木賞、2005年には「落花は枝に還らずとも」で第24回新田次郎文学賞を受けた。福島・会津をこよなく愛し、幕末維新の群像を描いた作品を数多く発表している。

 新春しもつけ文芸の短編小説を初めて選考するにあたり、中村さんは「自分がユニークな話、あるいは文体を持っていることを自覚していないけれど、僕らから見ると『へーっ』という人がたまにいる。独特の文章のしなやかさが見えるといい」と期待を込める。さらに「漢字とひらがなの配分の良さが日本語の良さにつながることも知っておいてほしい」と注文を付けた。

 一方、短編小説と現代詩の両部門には10~20代を対象にした「奨励賞」を新設し、読者の裾野を広げ、投稿者の発掘につなげたい考えだ。