将棋界の記録を塗り替え続ける藤井聡太(ふじいそうた)二冠。王より飛車をかわいがってしまう手合いでも、感心させられるばかりだ。棋聖戦での一手がAIでも6億手を読ませないと出てこないと聞けば、驚きも増す▼その藤井二冠、タイトルを取った際の記者会見で色紙を掲げた。こちらはお世辞にも達筆とは言い難かった。将棋とは勝手が違うようで、まだまだ精進が必要ということか▼毛筆の練習といえば、学校での授業が思い浮かぶ。学校関係者によると、県内の高校では最近、芸術系の選択授業の中から「書道」を選ぶ生徒が増加傾向にあるという。藤井二冠と同世代だ▼子どもたちは書道塾に通う時間的余裕がなくなり、中学校段階では受験対策などのために「書写」の授業が削られる。その反動もあり、興味を持つ生徒が増えているらしい。ただ、学校側の実情は、いささか心もとない▼県内の全日制県立高で、書道教諭が配置されているのは10校だけ。他の50校弱のうち半分は講師で対応し、残る半分には教員がいない。思うように教員を増やせないとはいえ、履修の機会がない生徒が多いのは残念である▼書道選択の増加は、美術や音楽が減る裏返しであり、喜んでばかりもいられない。それでも日本の伝統的な芸術としての文字文化に興味を持つ若者が多くなることを歓迎したい。