栃木県庁

 収束が見えない新型コロナウイルスだが、地方移住には“追い風”となっている。栃木県が東京都内に設ける「とちぎ暮らし・しごと支援センター」は緊急事態宣言下で休止に追い込まれたが、再開後の7月の相談件数は過去最多の56件に上った。テレワーク普及などに伴う地方への関心の高まりとみられる。県は東京圏のテレワーカーに狙いを絞ったインターネット広告配信に乗り出すなど、ピンチをチャンスに変える試みを始めている。

 新型コロナの影響で同センターは4~5月、対面相談がほぼ受けられず、セミナーなどのイベントも軒並み中止に。そこでビデオ会議アプリを使ったオンライン相談を始めたところ、申し込みが伸び始めた。

 7月はイベントを除く件数としては前年比40%増の56件に上り、2015年6月の窓口設置以降最多だった。8月も84%増の35件。9月は13日現在で31件となり、前年(46件)を上回るペースが続く。

 センターの生田公二(いくたこうじ)相談員は14日に開かれた県と市町の会議で、7月からコロナ禍やコロナで離職した人からの相談が増え始めたことを指摘。「特に北関東3県の増加が顕著。東京圏に通える範囲での移住が検討されている」と解説した。

 県は本年度、東京圏の若年層向けに地方移住のネット広告を配信するデジタルマーケティング事業を予算化していたが、9月補正予算案に急きょ、テレワーカーに狙いを絞ったネット広告配信を追加。移住促進動画制作や特設サイト開設の事業も含め1700万円を計上した。

 東京圏の企業や県内市町がお試しのサテライトオフィスを設置する際の補助費2800万円も確保。県内では那須町が総務省のお試しサテライトオフィス制度に空き家1軒を登録し、誘致に乗り出している。

 県地域振興課は「テレワーク普及を契機に、いかに栃木県に人の流れを呼び込むかが重要。トレンドをしっかりと捉えていきたい」としている。