再開を知って訪れた客に検温をして出迎える鬼怒川さん(左)=18日午前、日光市鬼怒川温泉大原

再開を知って訪れた知人を出迎える鬼怒川さん=18日午前、日光市鬼怒川温泉大原

再開ののれんをだす鬼怒川さん=18日午前、日光市鬼怒川温泉大原

再開を知って訪れた客に検温をして出迎える鬼怒川さん(左)=18日午前、日光市鬼怒川温泉大原 再開を知って訪れた知人を出迎える鬼怒川さん=18日午前、日光市鬼怒川温泉大原 再開ののれんをだす鬼怒川さん=18日午前、日光市鬼怒川温泉大原

 新型コロナウイルスに感染した栃木県日光市藤原、演歌歌手鬼怒川太朗(きぬがわたろう)さん(73)が18日、休業していた飲食店「ラーメン居酒屋 八海山」(同市鬼怒川温泉大原)の営業を約2カ月ぶりに再開した。自身の感染対策の甘さでクラスター(感染者集団)となった店は店名が公表され、多くの批判も浴びた。「地域に迷惑を掛けたのは事実だが、コロナ禍の中で、感染者が隠れずにやり直せることも大切なはず」。後悔の日々の中で励ましてくれた人に感謝し、再起を図った。

 午前11時、鬼怒川さんが7月21日以来となるのれんを出した。換気や消毒、入店前の検温などの対策を施した店内。営業再開を知って訪れた知人らに、久しぶりに名物のギョーザやラーメンを提供した。

 元々8人いた従業員は2人に減り、当分は昼の営業のみだ。「中傷や非難も尾を引くと思ったし、人に会うのも嫌な時期もあった。少しずつ以前の店に戻していきたい」と安堵(あんど)する。

 7月、従業員やその家族から次々と感染が確認された。鬼怒川さんは、コロナに無防備だった自身の行動の責任を痛感した。

 クラスター判明後、関係者に謝罪して回った。長く地元で演歌歌手として活動し、地域で知られた名物店。冷たい反応や事実と異なるうわさも相次ぎ、閉店も頭をよぎった。一方で、地元の組合の関係者や知人ら、応援してくれる人も多くいることに気付かされた。

 日光市や市社会福祉協議会から休業中の生活資金や感染対策費の支援を受け、再開にこぎ着けた。「卑屈にならずにいけ」。付き合いのあるタレントのガッツ石松さんから励ましも受けた。

 再開初日に訪れ、タンメンを食べた埼玉県川越市天沼新田、無職石田(いしだ)たまえさん(73)は「太朗さんを励ましたいのもあるが、見えないウイルスで誰でも被害者になり得るのに、いまだに『来るな』『寄るな』みたいな世間の風潮はおかしいでしょ」と話した。

 鬼怒川さんは「大げさに言えば人生を見詰め直した。でも、謝って『これからまた頑張ります』でいいと思うんだ」と前を向いた。