雑草が生い茂る柳橋町の空き地

 【栃木】昨年10月の台風19号の本県直撃から間もなく1年。市内の被災地域で家屋の解体が進む中、空き地の環境悪化や住民の減少が課題となっている。8月には、被害が大きかった自治会から空き地の環境保全を求める要望書が市に提出された。先行きの見えない状況に、住民は不安を募らせている。

 市によると、今年3月末現在、公費と自費を合わせて419棟の解体が決まり、このうち3分の1ほどが8月末までに解体された。

 会員世帯の9割以上が浸水被害を受けた柳橋町自治会でも急速に空き地が増え、四方を空き地に囲まれた民家もある。地権者の管理が行き届かなくなった空き地では伸びた雑草が鳥や虫を寄せ付け、ごみのポイ捨てなども多発している。

 こうした問題について長井和範(ながいかずのり)自治会長(76)の元に会員らからの相談が相次いだことを受け、同自治会は8月26日、市に要望書を提出した。行政代執行で空き地の雑草を刈るための条例制定などを求める内容。長井会長は「地権者も近隣住民と同様に被災者であり、お互い手いっぱいだ。衝突し合うのが一番の心配」と話す。

 市はごみや雑草などを行政代執行法に基づいて処分する条例を制定済みだが、適用した例はない。市環境課は「所有者が管理するのが前提にある。空き地に特化した新たな条例の策定や行政代執行はよく協議しなければならない」としている。

 富士見町自治会でも多くの会員宅が被災し、解体工事が進行中だ。毛塚正(けつかただし)自治会長(74)らが「時々、地権者に声を掛けて除草をしてもらっている」ため、空き地の雑草が伸びきった様子はない。だが「市民の管理には限界がある」と毛塚会長。「このままでは水害に遭った土地として価値が下がり、住民が減少し続ける。観光業などにも影響しかねない」と危惧している。