宇都宮市PCR検査センターによるドライブスルー方式の検体採取。検査拡充に向け自治体の努力が続く=8月下旬、宇都宮市内(宇都宮市保健所提供)

 安倍政権の継承を掲げる菅義偉(すがよしひで)内閣が16日発足した。目下の最重要課題である新型コロナウイルス対策に菅政権はどう取り組むのか。栃木県内の医療関係者は早期の検査体制拡充、観光関係者は「地域に応じた施策を講じる地方への支援」を求めた。

 「菅首相には今までのやり方で良いという印象を受ける。もっと実効性と永続性がある対策を、国民の心情に寄り添って実施してほしい」。宇都宮市中島町の「インターパーク倉持呼吸器内科」の倉持仁(くらもちじん)院長(48)は「国民が共感する発言と政策」を菅首相に要望する。

 安倍政権下のコロナ対策を「第2波の方が感染者は増えたが重症者や死者数は減り、ある程度コントロールできた」と評価。半面、既存の法律や医療設備での対応を続けた点を「体制に問題があると認識しながら、現状は最初と何も変わっていない」と疑問視する。

 無症状者を対象に、PCR検査に独自に取り組む同病院だけに「今は自治体ごとの検査体制に差がある。一番困っている自治体に合わせた政策を展開すべきだ」と強調。コロナ対策と経済の両立を目指すとする菅政権に「そのためには短時間で速やかに検査できる仕組みをつくることが重要。誰かのメンツではなく、国民のためになる科学的なデータを提供、活用してほしい」と注文した。

 「地域の宿泊、観光業者を一定程度下支えしてくれた。地方への感染拡大も少ない」。県職員時代から栃木県の観光振興に携わり、4月から那須塩原市観光局長を務める西須紀昭(さいすとしあき)さん(65)は官邸主導で打ち出されたとされる観光支援事業「Go To トラベル」を評価する。

 給付金や無利子融資など各種支援策も「零細な事業者ほど助かったはず」とするが、一方で「効果がどこまで続くか」とも。「地域の小さな食堂や居酒屋などは、夜間の楽しみを求めるインバウンド(訪日外国人客)を考える上で大きな観光資源。感染収束が見通せない中、信用調査会社のデータにも表れないような小さな廃業が今後頻出しかねない」と警戒する。

 その上で地方出身の菅首相に「より目に見える形での地方創生の展開」を期待する。那須塩原市が行った、市民の市内旅行を促すキャンペーン事業を例に「地域の実情に応じた対策を打てるのが地方。臨時交付金のような自由度の高い財政支援が必要だ」と訴えた。