宇都宮市大谷町の実家で昨年8月、母親を刺殺したとして殺人罪に問われた同市細谷町、土木作業員戸村輝美(とむらてるみ)被告(47)の裁判員裁判論告求刑公判が14日、宇都宮地裁(二宮信吾(にのみやしんご)裁判長)で開かれた。検察側は被告が事件時、被害者の同意を前提とした行動を取っていないとして「道連れ自殺をしようと、最悪な方法を選んだ」と懲役12年を求刑。弁護側は「『死にたい』という母の言葉が動機の一つだった」と同意殺人の成立と懲役3年を主張した。

 検察側は論告で、被告が母ハナさん=当時(79)=に包丁を隠して近づき、母が止めようとしたことを認識していた点などから、争点となっている同意殺人の成立を否定。捜査段階では殺害を依頼されたことを述べていなかった点を強調し、二十数回にわたって突き刺した悪質性などを非難の事情として挙げた。

 弁護側は被告が軽度の知的障害だったことを指摘。「真意は確かめるべきだったが、ハナさんの発言を冗談と理解するのは難しかった」と主張。殺害後、近所の女性に「母が『死にたい』と言っていたから刺した」と述べていたとして「同意」は事後的に付け加えたことでないと訴えた。