換気を徹底しながら運動に取り組む元気アップサークルのメンバー=8月、足利市内

通いの場を開催するための注意点

換気を徹底しながら運動に取り組む元気アップサークルのメンバー=8月、足利市内 通いの場を開催するための注意点

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、高齢者が交流したり運動したりする「通いの場」のあり方が課題になっている。介護予防や孤立の防止に必要な場だが、コロナ禍で中止が相次いだ。緊急事態宣言の解除以降、県内各地では再開の動きが広がるが、感染を予防するため制約を余儀なくされている。専門家は活動の低下による健康への影響を懸念している。

◇「コロナ」感染拡大の経過

 10人ほどの男女が円になり、腕立て伏せや背筋運動を行う。8月、足利市伊勢町3丁目のとうこうコミュニティーセンター。市内に約160ある高齢者の体力づくり団体「元気アップサークル」の一つが活動していた。

 参加人数を絞り、窓を開けて換気を徹底。マスクは熱中症の恐れもあるため、必要に応じて外しながら運動を楽しんだ。

 代表の吉田淳子(よしだすみこ)さん(75)によると、感染症の影響で3月末から6月末まで活動を中断。会員からは「体力が落ちて動けなくなってしまう」などと再開を求める声が寄せられていた。また、「外出が減って思うように歩けなくなった」と退会する人もいた。

 那須塩原市南郷屋5丁目の健康長寿センターでは、認知症当事者の会「オレンジドアにしなす」が7月から約3カ月ぶりに始まった。8月の会合では参加者を減らしてマスクを着用し、近況を報告し合った。

 同会は認知症当事者が活動内容を決める。当事者だからこそ分かる悩みを共有し、支え合う。同会ボランティアで立ち上げから携わる飯島恵子(いいじまけいこ)さん(65)は「支援を受けるだけではない、当事者が主役の場はとても重要」と指摘する。

 一方、人数を減らすために参加者を2班体制にしたが、「会いたい人に会えない」という声なども受け、9月から通常体制に戻した。飯島さんは「通いの場の開催自体を控えている地域もある」と話す。

 通いの場の継続について、国立長寿医療研究センターと筑波大は7月、通いの場を開く際の注意点をまとめたポスターを公開した。

 同センターの荒井秀典(あらいひでのり)理事長(61)は「感染リスクゼロを追求すると自宅でじっとしているしかないが、その影響は月単位、年単位で表れる恐れがある」と説明。「コロナで孤立した人を社会活動につなげる必要がある」と訴えた。