ウィズ・コロナ時代の国のかじ取りを誰に担わせるのか-。その選出から大多数の国民は閉め出されている。事実上の首相選びである自民党総裁選が、同党内の手続きで完結してしまうからだ▼立候補を表明した3人は60代、70代の男性ばかり。女性はいない。令和初の首相選びだが「昭和臭」がぷんぷんだ▼議院内閣制の下で、今回の選出そのものに欠陥があるわけではない。しかし、永田町では派閥による権謀術数が渦巻き、まともな政策論争は聞かれない。新政権で主流派の一角を占めたい狙いから勝ち馬に乗る動きが加速、勝負は既に決した感さえある▼総裁選を制するには、実績はもちろんだが、権力の磁場を見抜く眼力や流れを自分に引きつける強運が必要だ。実質的な人事権を掌握することも組織の統制には欠かせない▼それは一国のリーダーに備わっていてほしい資質の一つには違いない。だが、安倍政権の負の遺産をどう克服するのか、という視点からのチェックは、閉じられた選出プロセスでは働きにくい▼誠実さや謙虚さ、国民への説明責任を尽くす覚悟は、安倍晋三氏の後継に期待される資質だ。安倍政権の弊害が改善されないのだとしたら、今回の総裁選は、自民党が自浄の意思も能力も持ち合わせていないことを自ら証明することになるのではないだろうか。