高倉健(たかくらけん)さんが演じる夫と倍賞千恵子(ばいしょうちえこ)さん演じる妻が再会を果たすラストシーンが感動的な「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」。40年以上も前の映画だが、製作のきっかけに宇都宮出身のサックス奏者渡辺貞夫(わたなべさだお)さんが一枚かんでいる▼親交のある倍賞さんが自宅を訪れ、聴いた米国グループのヒット曲「幸せの黄色いリボン」の訳詞に感動。「男はつらいよ」の撮影の合間に山田洋次(やまだようじ)監督に話したところ、監督が着想を得たと倍賞さんの自著にある▼渡辺さんなしにあの名画は生まれなかったのかもしれない。黄色は信号機や安全標識で注意を促す色として定着している。ただ映画の影響で、その色がたなびく光景は、愛情にあふれ幸せが約束されたイメージが湧く▼昨秋の台風19号で永野川が氾濫し、被害が出た栃木市の旧大平町内の農地に、キバナコスモスの種がまかれた。今春までは泥が覆い、田植えに間に合わないと危惧されたが、見事に復活。作付け調整で空いていた田んぼが花畑に変わる▼花言葉は「野性美」。かれんな白やピンクのコスモスに比べ暑さに強く、雨や風にも負けないたくましさがある。秋には満開の花が風に揺れる▼10月は栃木市の合併10周年記念式典も予定される。台風や幾多の困難を乗り越えてきた市の歩みに花を添えることだろう。黄色が醸す温かな祝福と共に。