オンラインで取材に応じる國井修さん=25日

 発展途上国の感染症対策に取り組む国際機関「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」(グローバルファンド)の戦略投資効果局長國井修(くにいおさむ)さん(57)=大田原市出身=が27日までに、下野新聞社のオンライン取材に応じた。世界規模での新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、「多少感染者が増えても一喜一憂せず、ウイルスと共存しながら、この危機を好機と捉えて新たな未来をつくるべきだ」と訴えた。

 同基金はスイス・ジュネーブに本部を置く。各国の政府、企業などから年間約40億ドルの資金を調達。アフリカなど約130カ国で三大感染症のエイズ、結核、マラリアに苦しむ人々の診断、治療、予防を支援している。

 新型コロナの感染拡大に伴い、医療従事者の感染や国境封鎖などの影響が出たため、支援事業が滞ってしまったという。新型コロナ対策への支援として、途上国へ防護服やマスクの調達、検査体制の強化などを行っている。

 新型コロナによる世界の累計感染者は2300万人超、死亡者は80万人以上に上る。この感染症の特徴について、「知らぬ間に、無症状や発症前の人からも感染が広がる。それが恐ろしい」と説明する。

 現在、國井さんのいるスイスなどでは感染の第2波が来ている。「規制を緩和すれば感染が広がり、流行するのは仕方ない」と捉える。「でも第1波の時期と違い、人間はウイルスとの闘い方が分かってきた」。重症化しやすい高齢者や基礎疾患のある人が感染しないよう注意を払い、死亡者数を増やさないことが重要とする。

 「世界的な傾向」と指摘するのが、感染者や医療従事者、その家族への差別や偏見。「感染した人もさせた人も悪くない。その人の立場になって思いやりを持ってほしい」と強調した。

 今後新型コロナは「終息」せず、感染症の一つとして人類と一緒に生き続ける可能性もあるという。

 感染しても検査ができない、診てもらえる病院がない、薬がない-。新型コロナによって多くの国の人が経験したことだが、アフリカやアジアの最貧国では、新型コロナ以外のさまざまな病気で「毎日このような経験がある」と語る。

 貧困など過酷な環境で、新型コロナ以上の感染力や致死力を持つ感染症に苦しんでいる人たちがいる。「薬やワクチンがあっても買えない国がある。支援があれば助けられる命があるという実情を分かってほしい」と力を込めた。