前を向き、給食を食べる児童たち

 【那須塩原】新型コロナウイルス感染拡大で芸術鑑賞の機会のない児童らを支援しようと、市教委は小学校向けの演劇鑑賞配信事業を始める。下大貫の劇団「らくりん座」に委託し、代表作「あらしのよるに」の映像化のほか、新たに10分程度の寸劇10本を収録。映像は11月以降、給食の時間に各教室で流すという。児童らは給食時、おしゃべりせずに一人一人前を向いて食事をしており、市教委は「給食が楽しい時間になれば」としている。

 市内の小学校では毎年、らくりん座が各校に出向いて劇を行う「演劇鑑賞教室」が開かれていたが、新型コロナの影響で全て中止に。また、各校で感染防止対策を徹底しており、児童は給食時に前を向いたまま食事をしている。

 演劇鑑賞配信事業は上演時間約60分の劇「あらしのよるに」を収録し10分程度に分割して編集するほか、約10分のオリジナル劇も新たに制作して映像化。「あらしのよるに」は11月以降、オリジナル劇は来年1月以降に電子黒板を用いて各教室で給食の時間に放映する。事業費約560万円。

 大原間小の海老澤康雄(えびさわやすお)校長は「現在は『無言給食』にならざるを得ない」と話し「給食が以前のように、子どもたちの大きな楽しみになるはず」と期待する。

 3月上旬から公演が軒並み中止や延期となり、「設立69年の歴史で最大の苦境」というらくりん座にとっても朗報だ。

 大河内真由美(おおこうちまゆみ)代表(52)は「生の演劇でなくとも何か発信したいと思っていた」という。新たに制作する寸劇では新型コロナを題材に扱った作品も手掛けるといい、「早く生で見てもらえる環境が戻ってほしいが、せめて映像で子どもたちに楽しんでもらいたい」と話している。