インターネットを使った野菜などの通信販売が急増している。市場を介さずに、こだわりの商品を高く売りたい生産者と新鮮で良質な食材を求める消費者のニーズが合致した▼新型コロナウイルスの感染が拡大し、休校による給食の中断や飲食店の営業自粛などで、出荷できずに生産品の売り先に困った農業者、漁業者が続出。一方で自宅にこもる消費者から注文が増えた▼ネット通販のポケットマルシェ(岩手県花巻市)の高橋博之最高経営責任者(CEO)は「生産者と消費者が『顔の見える関係』になることが大事だ」と、双方の関係強化の意義を強調する▼直販では、市場の規格に合わず従来は廃棄された「規格外」も販売する。こだわりの品が高級飲食店から歓迎される農家も多い。顔の見える生産者の品は使い切るため、食品ロスの削減にもつながる▼農業経営が厳しい理由として、自然災害と向き合いながら努力して作っても売値が安い点が挙げられる。直販は生産者が価格設定の主導権を握り、販売価格の3割程度だった取り分を7割程度まで引き上げるよう目指す▼JA、市場を通した取引は、確かに大量の生産品を安定的に売買できるメリットがあるが、現状ではなかなか満足できない人もいる。直販には若手から高齢農家まで幅広く参加しており、今後も注目したい。