ついたてが置かれた食堂で夕食を取る矢板中央高サッカー部の寮生=20日午後6時55分、矢板市扇町2丁目の同校

 全国の高校や大学の運動部で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が相次いで発生したことを受け、学生寮などを持つ県内の高校や大学が感染防止対策に神経をとがらせている。消毒や検温などを徹底しているものの、集団生活のために感染リスクを完全になくすことは困難な状況。学校関係者は「対策には限界がある」と頭を悩ませている。

 「少し声が大きいな」「そこはもう少し間隔を空けて」。20日夕の矢板中央高学生食堂。寮生活を送るサッカー部員に高橋健二(たかはしけんじ)監督(52)が指示した。

 入り口のドアに張られたのは、2018年度の全国高校選手権で対戦した立正大淞南高(島根)サッカー部でのクラスター発生を伝える新聞記事。3年の坂本龍汰(さかもとりゅうた)主将(18)は「人ごとではない。感染したらチームにも迷惑が掛かるので、一人一人が私生活から気をつけないといけない」と表情を引き締める。

 同部は3学年で176人の大所帯。うち120人は学校近くの寮で生活する。寮生は毎朝検温し、1日3食の食事は飛沫(ひまつ)感染防止のため、透明のついたてや壁に向かいながら取っている。部屋同士の行き来や買い物などの外出は必要最小限とし、部員全員が消毒液を携帯。高橋監督は「生徒にとっては窮屈な生活で気の毒だが、粘り強く注意喚起していく」と危機感をにじませる。

 白鴎大は女子バスケットボール部員約20人が構内にある個室の寮で、硬式野球部員63人はアパート3棟で共同生活する。野球部は3、4年生が個室で1、2年生は2人部屋。食事や入浴の際は人数制限を行い、体調不良者らの「隔離部屋」も設けた。大学側は部活動を許可制とし、週1回の活動報告を義務付けている。

 学生寮や寄宿舎に関し、文部科学省はホテル業の予防ガイドラインを参考にするよう要請しているが、学校ごとに効果的な対策を模索しているのが現状だ。白鴎大の舘野由伸(たてのよしのぶ)事務局次長(57)は「寮生に限らず学生はアルバイトもするし、行動範囲が広いので感染防止には限界がある。万が一感染しても拡大させないように、学生一人一人の意識を高めていきたい」と話している。