県庁に精通した記者クラブ員にもほとんど知られていない組織が本庁12階にある。案内板に載っていないので、来庁者が目にする機会もないだろう。

 一般企業への就職を目指す知的障害者らが軽作業を担う「事務補助センター」だ。開設4年目を迎え、本年度から3人増の5人が勤務している。

 各課室からの依頼はチラシ折りや庁内イベントの会場設営など多岐にわたり、どれも正確性と根気が求められる。昨年度の統計調査の際には配布資料8千セットを手作業で準備した。本年度からは、庁内で使う事務用品の一括管理も担う。障害者雇用だけでなく、在庫ロスの削減や職員の働き方改革に寄与する取り組みだ。

 元県聾(ろう)学校長で就労支援員の手塚一郎(てづかいちろう)さん(63)は「みんな素直。それぞれの特技を生かして働いている」と優しいまなざしを向ける。目立つ仕事ではないが、私たちが普段何げなく目にしているポスターやチラシも、彼らの手を経た物かもしれない。