GoToトラベルを機に徐々に客の動きが出始めた旅館。感染防止対策に万全を尽くしているという=20日午後、栃木市柏倉町

 新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ観光業を支援する政府の「Go To トラベル」がスタートしてから、22日で1カ月を迎える。栃木県内の宿泊施設には観光客が戻り始め、需要回復へ一定の効果が見られた。一方で事業の複雑さなどから、対応に苦慮する観光業者も。感染拡大への不安が拭えない中、各施設は感染防止対策に万全の注意を払いながら、観光復興に向けた模索を続けている。

 「最初はGoToに期待していなかったが、思ったよりも利用があった」。栃木市柏倉町の旅館「柏倉温泉 太子館」の若女将、栃木良美(とちぎよしみ)さん(43)はこう振り返る。

 新型コロナで客足が遠のき、「一時はお店を閉めることも考えた」。現在は客の約半数がGoToを活用し、9月の連休や年末の予約も入った。「これまでのマイナスを取り戻すためにも、GoToには期待している」という。

 日光市鬼怒川温泉滝の「きぬ川国際ホテル」の担当者も「観光業界への応援になっている」と歓迎する。ただ、感染拡大が続く状況を踏まえ「もろ手を挙げて賛成ではない」とも。施設内の消毒、検温などに気を配りながら営業を続ける。

 那須町高久乙のホテル「星野リゾート リゾナーレ那須」は、宿泊者の利便性などを考慮し、割引分の還付申請に必要な書類を一律配布している。広報担当者は「大きな混乱なく対応できている」と話す。

 自身の還暦祝いで妻や子などと日光市内に1泊した神奈川県大和市、会社員男性(60)は「宿も感染対策をしてくれているし、問題は感じない。またGoToを使いたい」と満足そうだった。

 GoToを巡っては、制度の詳細が曖昧なまま事業がスタートし、全国的に混乱を招いた。栃木市藤岡町甲の旅行代理店「たび倶楽部(くらぶ)」の酒井一則(さかいかずのり)社長(65)は「あった方がもちろん良いが、事務処理が煩雑で翻弄(ほんろう)されている」と戸惑いを隠しきれない。

 県観光交流課の担当者は「本県観光客の2割を占める東京都が除外されたが、参加する事業者の期待は大きい」と話す。県の「一家族一旅行推進事業」と組み合わせて利用する県民も多く、「宿泊施設同様、利用客も感染対策を万全にした上で制度を利用してほしい」と呼び掛けている。