この猫は収容当時、威嚇が激しかったが、同所職員による根気強い飼育によって人に慣れてきたという

 【宇都宮】市保健所が収容した犬猫の2019年度の殺処分数は計5匹で、統計が残る05年以降最少だったことが市生活衛生課のまとめで分かった。背景には譲渡機会の拡大があり、市内動物病院と連携した取り組みも、その一つ。殺処分の大半を占めていた生後間もない子猫を動物病院で人工授乳してもらい、譲渡につなげる市独自の取り組みで、官民協働の“命のリレー”が成果を上げている。

 市は狂犬病予防法などに基づき、放浪犬や、飼い主死亡などやむを得ない事情で飼えなくなった犬猫を収容している。

 19年度は犬172匹、猫108匹の計280匹を収容し、このうち譲渡は193匹、飼い主への返還は62匹。病気などで収容中に死んだ犬猫を除き、攻撃性が高い犬4匹と治療困難な負傷猫1匹を殺処分した。

 07年度まで1千匹を超えていた殺処分数は、動物保護団体と連携した譲渡の拡大や、飼い主からの引き取りの厳格化などによって年々減少。17年度に69匹となり、18年度は24匹だった。

 同課によると、殺処分の約8割を占めていたのが、授乳期の子猫だった。頻繁な授乳や排せつの世話が必要で、限られた職員では対応が難しいためという。

 殺処分ゼロに向けて長年の課題だった子猫対策を進めるため、市は18年度、有志の11動物病院と連携して子猫の命を救う活動「ミルクボランティア」を開始。

 18年度は26匹、19年度は31匹を人工授乳で育ててもらい、譲渡につなげた。同課は「動物病院の仲介で新たな飼い主が見つかるケースもあった」と感謝する。

 1匹でも多くの命を助けたいと、同所で警戒心や恐怖心の強い犬猫を譲渡可能なレベルまで根気よく飼育し、飼育希望者と丁寧なマッチングを行ったことも殺処分の減少につながった。

 同課は「収容が増えれば、殺処分を減らすことは難しくなる。飼い主には最後まで責任を持って飼うことと不妊去勢手術の徹底をお願いしたい」としている。